ヒビのブログ

19歳の車いすユーザーが個人的見解を綴っています。

「見ちゃだめ!」って言わないで

大変遅いご挨拶となってしまいましたが、あけましておめでとうございます。本年もマイペースに更新していく予定ですのでどうぞ宜しくお願い致します。

今回は昨年末起きた話の記事です 。

これを書いていて、今の子どもたちがどういう風に福祉について学んでいるのか興味がわきました!!知ってる方いましたらコメントなどしていただけたら嬉しいです。

 

小さい子はだいたい私を見て固まる

今日は20日ぶりに地元のスーパーへ買い物に行った。
といっても私は母についていっただけなのだけれど。

時間は午後7時半。
お父さんやお母さんと一緒に買い物に来ている保育園〜小学生くらいの子どもが結構たくさんいた。


小さな子どもたちは私をみると大抵真顔で口を開けたまま固まる。
きっと頭の中は今まで見たことない乗り物に乗った若めの大人についてどう処理してよいのか迷ってフリーズしているのだろう。
私は微笑み返して迷っていたプリッツの味をまた悩み始める。
子どもたちの私を見る顔は真剣そのものだ。
だがそれに親御さんが気づいた途端に「すみません」とか「ほらっいくよっ」とか言って子どもを引っ張って行ってしまう。
子どもたちは「車いすユーザー=見てはいけないもの」で結論づけたかも知れない。

私はほぼ決まっているこの流れで毎回密かに心を痛めている。
さすがに2年半も続けば慣れてしまうものではあるが、小さい棘でも棘は棘。痛い。

「すみません」の意味が、うちの子がガン見してすみませんってことなのだろうと予想はできるし、「ほらいくよ」のときは、子どもが見ていることに私が気づく前に子どもをその場から離れさせたいのだとは思う。(もしくは急いでいるからぼーっとみてないで!って事かも)

どちらにせよ、子どもにとっては 車いすに乗った人=見てはいけないもの という方程式が出来上がっているのではないかと私は不安でたまらない。
だって大体中学生くらいになったらみんな、私のことをとっても気にしているのがあからさまにわかるのに、それでも極力バレないようにこっそり横目で観察していくんだから。

なんなら声かけて天気悪いですね、道中大変でしょう。みたいなノリで話してくれてもいいのに、私が振り返ると決まって商品棚でみりんを吟味しているふりをする。

でもこれがきっと日本人の“常識的な大人な対応”なんだろう。
悲しいな。わざと無視されている気分になる。


根源を辿れば、障害者が気軽に街へ出られない社会が出来上がってしまっているから、結果子どもの目に触れる機会も少なくなり、子どもの珍しいものを見たい好奇心から、親の「すみません」に繋がっているんだろう。

だけどそこで「すみません」によって子どもに「あぁ、見てはいけないものなんだ」を学ばせてはならないと私は思うのだ。
きっとここを変えないといつまで経っても無限ループで、かなり大袈裟なことを言えば日本は福祉道徳において全く成長しないと思う。

 

 

話をしてくれた女の子

数ヶ月前に、とっても素敵な3,4歳くらいの女の子とドラッグストアで会った。
彼女は物陰から2分程見つめ続けた後で「こんにちは、なにしてるの」とかなり不安そうに弱々しい声で挨拶してくれた。
「こんにちは、歯ブラシを選んでるよ。」
「ふーん。これ触ってい?乗るの?」
「うん、ここなら触っていいよ。これは車いすっていうの。歩けないから乗るの。」
「………………………………………そう。」
この数分間のやり取りが私には暫くぶりのとっても嬉しい出来事だった。
それはもう選んでいた歯ブラシを少し高めの良いものをチョイスしてしまうくらいには!
にっこにこだ!!

難しい顔して「そう」と言ったあとの彼女は、笑顔でママー!と叫びながら走っていったから「歩けない人は車いすに乗るんだよ」とお母さんに報告にしに行ったのだと思う。
私と幼い子どもの間に“常識的な大人”が介入しないことで、私の話を聞いてくれた少女がひとり誕生した。


微笑みながら「こんにちは」は実際大人でも難しい。
私たち大人(にみえる)側から子どもたちへ挨拶するのは不審者と扱われかねないからすごく見極めないとなかなかできないし、子どもたちは「知らない人と話をしてはいけません」って習っているのかもしれない。
だけど「こんにちは」って微笑むだけで、そんなに特異なものでないと発信できるなら私は進んでそうしたいのだ。

それに案外こちらから「こんにちは」を言うことで返してくれる子もいる。
殆どは見てたのバレた!?って感じで逃げていってしまうけど。

やっぱり笑顔と挨拶って大事だよ。と私は心から思うのです。

 

 

 

小さいお子さんをお持ちの方へ

もし、あなたのお子さんが私をガン見していたら私に「こんにちは」って声かけてください。

「こんにちは」と「すみません」では大きく違う。

親御さんの「こんにちは」を子どもたちが真似してくれたら私はとっても幸せになれるんです。

確かに私はガン見されるの苦手です。

ですが子どもは違う。

私を見たことで「世の中にはいろんな形で生活する人がいるんだな」「こんな近所にいるんだな」って知って欲しいんです。

車いすで買い物してる人がいて当たり前っていう感覚を身に着けて欲しいのです。

だから子どもたちはどうぞガン見してください。

なにしてるの?とかどうして車いすに乗ってるの?とか聞いていただいて結構です。大歓迎です!

疑問を持ったら質問しなくちゃ学びは始まりませんから。

そのあとで子どもたちがどう感じたかを家族間で少しでも話題になってくれたら最高ですね。 

 

こんにちは!!!!